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技術研究所外部評価制度 詳細

平成21年 第6回技術研究所外部評価の結果のご報告

 平成21年5月14日(木)、第6回技術研究所外部評価委員会を開催いたしました。外部評価委員は委員長の松野建一日本工業大学教授工業博物館長をはじめとする産、官、学の計5名の方々でした。今回は平成20年度に実施した研究テーマを対象に事後評価として実施いたしました。
 以下に研究テーマに対する委員からのご提言、あるいはご質問と、それに対する研究担当者の対応を記載いたします(付、5段階評価による総合評価)。

 

(1)標準技術活用による生産支援に関する研究

(研究担当者:木村利明、日比野浩典)
委員からの提言・意見研究者側からの対応
[ポータルコラボレーション]

○本研究成果の海外拠点への適用に際しての考慮点はあるか。

→海外では、情報インフラ、特にインターネット環境が不十分な場合があるため、通信帯域上限制御、限られた帯域内でのシステム応答性確保に開発努力をした。

○マルチメデイアの利用を可能としたことによる優位性は何か。
→回答内容をもっと世間にアピールすると良い。

→コンピュータ内部情報のみならず、手書き図面などの非デジタル情報の共有による支援も可能である。

○外国特許出願は行っているか。

→現在は国内出願のみである

[シミュレーション]

○外観検査の画像処理は独自開発のものか、あるいは既存ロボット用技術の応用か。

→画像処理アルゴリズムは独自開発である。処理ソフトはインテルのオープンソースライブラリを利用し、開発効率を上げている。使用している設備シミュレーション情報は独自開発のものである。

○判定アルゴリズムは重要であるが、バーチャル画像による判定は判断が甘くならないか。

→現在は外観形状検査のみに特化しているが、そのレベルでは問題ない。またバーチャル画像は実写真画像とほぼ同等の扱いが可能となってあり、検査判定に影響はないと考えているが、さらに多くの実験を実施して有効性の検証を進める予定である。

総合評価
 

(2)計測技術高度化に関する研究

(2-1)製造現場の形状計測技術向上に関する研究

(研究担当者:大西 徹・高瀬省徳)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○熱膨張係数の異なるゲージを用いて目盛誤差を評価、補正するようであるが、具体的な製品展開はどうするのか。

→低熱膨張製のブロックゲージ(BG)により測定機付属のスケール側温度計誤差を評価。また、普通(鋼製)のBGによりワーク側温度計誤差を評価、両者の値を補正値として実際の測定作業に適用することによって高精度化が実現できる。

○真円度測定器の倍率校正方法に関して対象となっている方法(切り欠き標準)は実用的かつ現実的と認識しているが公式には認められていない。ぜひ規格化に至るまでの研究を進めて欲しい。

→努力したい。
総合評価
 

(2-2)材料試験技術の高度化-微細構造評価技術に関する研究-

(研究担当者:藤塚将行・山口 誠)
委員からの提言・意見提言、質問事項に対する対応等

○圧痕サイズとラマン分光の空間分解能の関係はどうなっているか、また微小圧痕でなくてはいけないのか。

→現在の空間分解能は1μm程度でラインによるマッピングを実施している。したがって、数μmサイズの圧痕が対象となる押込み硬さ試験への適用と考えている。より大きなサイズに対してはマッピングに時間がかかり実用的でない。

○最終評価目標として何を考えているか。

→周波数特性のような動的領域は困難と考える。残留応力応用の評価の利用により応力の影響のない場の探索が可能で、その結果、材料固有の特性評価が可能になると考えている。定量化は困難であるが「応力-ひずみ」の関係も得られる可能性がある。

○圧子形状の検討はどうしているか。

→結晶性材料への適用、入手の容易さなどを考慮し、四角錐のビッカース圧子を用いている。今後は円、円錐の応用も検討していく。

総合評価
 

(2-3)材料試験技術の高度化-複合三次元材料試験方法の開発-

(研究担当者:五嶋裕之・藤塚将行)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○本手法の海外への展開は考えているか。

→米軍規格に類似の多軸試験がある。民生用としての潜在需要があるとのコメントを国内メーカより受けている。

○現在は静的であるが、動的試験も行えるのか。

→繰り返し、耐久試験などの動的試験も行えるようアクチュエータを変更する計画を現在、進めている。

総合評価
 

(3)加工技術高度化に関する研究

(3-1)硬脆材料超精密加工技術の開発

(研究担当者:飯塚 保)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○加工液が今回のラマン分析に対してどう影響を与えるか、見解を聞きたい。

→加工液の有無により加工モードが変化する場合には影響があるが、今回の実験で極圧潤滑皮膜剤、エチルアルコールを用いてもスペクトルの存在と、そのピークの大きさに大差がなかったので、影響はないと考えている。

総合評価
 

(3-2)加工機械用要素性能の向上に関する研究

(研究担当者:畠山 実)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○リニアモータ駆動の性能に対する今回の試作防振装置の位置付け、期待される効果が明確でないので、説明が欲しい。

→リニアモータは非接触駆動であるがため、外部からの振動や加工反力の影響を受け易い。今回の開発は外部振動の影響を簡便に軽減し、リニアモータ本来の特性を発揮しやすくするのが目的である。

総合評価
 

(3-3)温度制御による加工技術信頼性向上に関する研究

(研究担当者:田中清志)
委員からの提言・意見研究者側からの対応

○LHP(ループヒートパイプ)を今後、どう加工技術分野へ適用するのか。

→当初は加工熱防止で研究を開始したが、一般産業界への適用を進めたほうがより効果の高い研究となる、との外部評価委員会での指摘に基づき、対象応用分野をシフトした。

○配管内部に液体が封入されているが、爆発等の危険性はないのか。

→耐圧設計は十分配慮してあり、問題はない。

○ペルチエ素子と本LHPとの比較は行ったか。

→ペルチエ素子には電力が必要であるが、LHPは不要であり、より省エネ効果は高いと考えている。

○九州のデータセンターでは外気流制御により省エネ効果を出しているが、さらにLHPによる効果は期待できるのか。

→LHP応用により電動ファンを除くことが可能となり、より省エネ効果が期待できる。

総合評価
いただきました貴重な提言、ご意見等を踏まえ、今後の研究の遂行に生かして参ります。