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機械安全のための規格と法律、設計方法の紹介 詳細

解析により信頼性を確認する

信頼度予測の実施

信頼度予測は、製品の信頼性を設計時に定量的に見積もることです。その目的は二つあります。一つは、製品が要求された信頼度を持っているかを確かめることです。もう一つは、製品が目標とする信頼度を持つように製品で使う部品を選ぶことです。信頼度の予測は、製品で使われている部品の故障率を基に計算します。動く部分を持たない機構部品の故障率は0.とし、動く部分を持つ機構部品、圧力容器等の故障率は、実績データを使います。一方、機械製品中に電気部品が使われている場合は、MIL-HDBK-217(米国防総省信頼度予測モデル)等を使って故障率を計算します。ただし、この電気部品が定格(決められた能力)に対して十分余裕を持って使われている条件とします。この信頼度予測の流れを下図に示します。

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WCAの実施

製品が使用期限の最後まで十分に機能を満足できるか確かめるためには、最悪条件解析(WCA:Worst Case Analysis)が有効です。機械設計では、製品に加えられる最悪条件を基に、熱や機械的ストレス、および部品・材料の特性のバラツキ等の変動する要因を検討して熱解析、構造解析を行います。この変動する要因として、製品に使用されている部品、材料等の熱環境(使用温度等)、機械環境(複合荷重等)、疲労、およびメカニズムの摩擦トルク変動等に注意する必要があります。この解析の流れを下図に示します。

FMEAの実施

設計のミスや製品の潜在的な欠点を見つけ出すためには故障の影響解析(FMEA: Failure Mode and Effects Analysis)が有効です。手順は、(1)まず、製品に生じる故障の状態を想定して故障の原因を分析し、その影響を見つけ出します。(2)次に、故障の影響をなくすための調べ方と、防ぐ方法を導き出します。設計者が下表に示すFMEAシートを作成し、信頼性・安全性・品質管理技術者等がチェック、審査していきます。設計者は製品の仕様、安全基準、使用条件・方法等を十分理解していることが必要です。

CILの作成

故障品目リスト(CIL:Critical Item List)とは、前項で示したFMEAで明確にされた故障のうち、製品から除去できない単一故障、および致命的な故障に対しての対策・管理方法をまとめたものです。このリストを使用することにより、致命的な故障に対して優先的に対策を行うことができます。その結果、安全対策に費やす費用を最小限に抑え、大きな効果を得ることができます。代表的なシートの例を下表に示します。