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「日本の今後のエネルギー政策に向けて」(洋上風力発電・その他再生エネルギーの役割)

第453回 機振協セミナーのご報告「日本の今後のエネルギー政策に向けて」(洋上風力発電・その他再生エネルギーの役割)【独立行政法人経済産業研究所 共催 】
開催日時 令和4年8月23日 13:30~15:00
場所 WEBシステムにより開催
テーマ 「日本の今後のエネルギー政策に向けて」(洋上風力発電・その他再生エネルギーの役割)
講師 (一財)機械振興協会 経済研究所 特別顧問                          三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 理事長                       独立行政法人 経済産業研究所 上席研究員(特任) 竹森 俊平
内容 モデレータ:独立行政法人経済産業研究所 国際・広報ディレクター
      経済産業省大臣官房参事   佐分利 応貴 氏


 2022年8月23日(火)にWebシステムより、独立行政法人経済産業研究所との共催で、第453回機振協セミナー「日本の今後のエネルギー政策に向けて」(洋上風力発電・その他再生エネルギーの役割)を開催しました。講師は、機械振興協会経済研究所の竹森俊平特別顧問(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社理事長、独立行政法人経済産業研究所上席研究員(特任))にお願いしました。当日は119名にオンラインでご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。

【講演内容】

 本講演では、ウクライナ戦争によって加速した欧州における再生可能エネルギー政策の現状を踏まえ、日本の再生可能エネルギー政策、とりわけ洋上風力発電の今後について議論された。昨今のエネルギー政策は、ガスや石油関連の短期的政策と温暖化防止策としての長期的政策が総合的に扱われていないため、その弊害が顕在化している。欧州の再エネ政策は、ウクライナ戦争を受けて2022年になって猛烈に加速しており、短期と長期のインターフェースとして表れている。ガス、石油、石炭の「脱ロシア依存」を目指すドイツでは、短期的な(今冬における)電力不足が懸念されるなか、総電力消費量に占める自然エネルギーの割合を大幅に引き上げる長期的計画を立ており、洋上風力発電についても大幅な増加を計画している。日本も再エネ導入の拡大にむけた「野心的目標」を掲げており、なかでも洋上風力発電への期待が高まっている。洋上風力発電はいまだ黎明期にあるが、導入拡大に向けた「日本型セントラル方式」(国が初期開発を行い、複数の事業者による調査の重複を避ける)の確立とそれに伴う事業コストの低下・効率化、公募制度における評価基準の見直しなど、好転の兆しがみられる。とはいえ、機械産業の視点でみると、主要なウィンドタービンメーカーは中国に集中しており、日本企業は出遅れている。国のエネルギー政策、企業の技術開発ともに長期的視点に立ち、日本のエネルギー供給をいかに増やしていくのかについて策を講じるべきではないかとの提言がなされた。
 講演後は、経済産業研究所国際・広報ディレクター兼経済産業省大臣官房参事の佐分利応貴様をモデレーターに積極的な質疑応答が行われた。とくに、浮体式洋上風力発電技術の展望について議論がなされた。浮体式洋上風力発電技術は、世界的に開発の余地があり、海外市場での拡大・展開が可能な分野である。今後、日本企業が海外で積極的に活動し、技術力を高めていく必要があるとの見解を示し、講演を終えた。