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計測標準高度化に関する研究(平成15年度研究概要)

産業のグローバル化により、工業製品の寸法・形状測定に関するトレーサビリティ体系確立の重要性が高まってきています。本研究では製造業に対する普及度が極めて高いのにもかかわらず、その測定精度に関する標準的な評価方法が定まっていない三次元計測技術を取り上げ、その実用的な測定精度限界(不確かさ)を評価する方法の確立について検討しました。

トレーサビリティのイメージ

図1 トレーサビリティのイメージ

現在までの調査結果から、測定機の設置環境は最良と思われる、20℃±1℃から最も一般的な環境と思われる温度制御幅が広い(20℃±5℃程度)の条件まで、いろいろな測定環境で測定が行われていることが分かりました。環境温度が不確かさに影響を与えることから、このような測定の現状は要求される測定の不確かさが異なっていることを反映しています。

そこで現実的なトレーサブルシステムの手法を探りますと、図1のように国家標準から実用標準へとトレーサビリティの連鎖が流れます。これにつれて、不確かさの値、および不確かさを維持する費用(測定室を維持する費用等)も低下するのが妥当となります。このように考えていきますと、不確かさに影響を与える因子(図2)それぞれを分類(高位・中位・低位等)し、それぞれに対応する不確かさの評価法を提案するのが合理的と考えられます。

そこで、ボールバー、ステップゲージ、ボールプレート等による評価を行い、企業等の現場においても応用できる簡易で安定性の高いマシンチェックゲージ(図3)による評価方法を提案するとともに、高精度化への取り組みとして、温度変化による座標値のドリフトの原因を解明するとともに、温度ドリフト補正法の提案及びマシンチェックゲージによる直角度補正法の提案を行いました。

これらが実現されることにより、生産現場の製品精度向上が期待できます。

測定精度に及ぼす要因

図2 測定精度に及ぼす要因

マシンチェックゲージ

図3 マシンチェックゲージ