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温度制御による加工技術信頼性向上に関する研究(平成19年度研究概要)

1.実施内容

機械加工時の温度制御は、工具自体の寿命を延ばす、さらに製作品の均一性を確保するために重要な課題であります。現状は、切削油を使用した温度制御が広く行われていますが、切削油の使用量が多く、また正確な温度制御が行われないなどの欠点がありました。さらに、大量の切削油を使用しているため環境問題への対応も不可欠となっています。この問題を解決するため、流体の潜熱を利用して使用冷媒量を抑え、さらに冷媒還流の動力を最小限とする技術の開発が求められています。このために、ヒートパイプ(HP:heat Pipe)の技術を応用した無動力の熱制御素子(ループヒートパイプ、LHP:Loop Heat Pipe)の研究を行いました。

HPの理論を基にしてLHPの熱輸送限界である最大熱輸送量の解析手法を確立しました。さらに、安全性と取り扱いよさが求められるLHPの作動流体の調査を行い、安全性に優れ、使用材料との適合性がある作動流体と材料を選定しました。これらの結果を用いて安全性に優れた数十W程度の熱を数m輸送できるLHPの設計と試作を行いました。試作品を図1に示します。

試作LHP外観
図1 試作LHP外観

2.予想される事業実施効果

LHPを用いた温度制御は、切削油の使用量を大幅に減少させ、温度制御のための動力を必要としないため環境配慮の点で優れています。さらに、本システムは、機械加工のみならずパソコン、サーバー、液晶テレビ等の機械産業、さらには住宅用機器においての利用が期待できます。

3.本事業により作成した印刷物等

<KSK-GH19-3> 加工技術高度化に関する研究(平成19年3月)


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