ホーム > 経済研究所 > 報告書・その他刊行物 > 調査研究報告書 年度一覧 > 調査研究報告書 年度別一覧 > 調査研究報告書 詳細

調査研究報告書 詳細

機械関連企業における競争力格差とその背景―平成14年度版 日本の機械工業―

報告書No. H13-1
発行年月 : 平成14年5月



Ⅰ.主要目次
第1部 機械関連企業における競争力格差とその背景
1章 総論
2章 業種別各論
1.自動車 2.ネット関連機器(基盤・端末) 3.家電(AV・白物) 4.自動車部品 5.半導体 6.航空機モジュールおよび一部重機械 7.工作機械 8.半導体製造装置 9.ベアリング 10.材料産業 11.(参考)異業種の例 ―トイレタリ
第2部 動向編
1. 自動車(乗用車中心) 2.ネット関連機器(基盤・端末) 3.家電(AV・白物) 4.自動車部品 5.半導体 6.航空機モジュールおよび一部重機械 7.工作機械 8.半導体製造装置 9.ベアリング
第3部 参考資料
1.業種別、年代別にみた世界の主な企業とその変遷  2.アンケート分析編
Ⅱ.概要 
 機械4業種を中心として、機械関連の内外企業の収益力やビジネスモデルを比較し、アンケート分析と併せて、企業業績浮沈の背後にある「競争環境の構造的変化」を探った(調査対象業種は主要目次を参照)。機械関連の日本企業の世界シェアは、90年代に、電機・電子系及びそれに連なる産業機器を中心として低下した。他方自動車および関連業種ではシェア等は高いままであるが、それらはIT系に比べて成熟化しているため、全体を合わせると、機械関連総体で日本企業の世界シェアは低下したとみられる。また、自動車関連のように業種別の日本企業合計シェアが高い分野でも、日本ではしばしば業種毎に大企業の数が多い。つまり1社あたりシェアでみると、必ずしも日本企業が世界的トップクラスでない例は多い。欧米の業界構成は、ガリバー的、デファクト独占的な1~2社の成功企業と、特色ある多数の中堅企業/ベンチャー(利益率は低くない)から成る例が多い。日本では、比較的多数の似たような大企業と、膨大な中小零細("下請的"で低利益)から成る。IT系産業での日本企業のシェア低下で重視すべき問題は、日本企業が、成長期の成功モデル(業界構成・経営・人事・ファイナンス・マーケティング等)を発展解消するのに要した時間が、世界的イノベーション競争の展開テンポに比してかかり過ぎた点であると思われる。自動車系の産業は、IT系ほどイノベーション競争というべき事態が顕著ではないが、ITの発達・普及と、グローバルな経済資源流動化の下で、競争圧力は内外に強まりつつあり(アンケート結果も同様)、やはり同様の問題を抱えていると思われる。
 今後、日本の機械情報関連産業の課題とチャンスは、中国台頭等も鑑みれば : 1)業界毎で企業(事業部)丸ごとの選択と集中、特色ある中堅企業への分解とベンチャー台頭等の再編問題、2)残る事業部における業務構造改革(市場開拓型のタイトな統合事業とソリューション提供型の外部資源活用事業)の課題、3)中級機量産・売切型ビジネスモデルから脱皮し、知的、人的財産への投資を、システム化、サービス化を通じて中期有償で回収するモデル等の実現と考えられる。