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調査研究報告書 詳細

製品開発における3次元CAD利用の現状に関する調査

報告書No. H10-3
発行年月 : 平成11年5月



Ⅰ 主要目次
第1章 先端的情報システムと日本企業の課題
第2章 新世代3次元CADの製品開発プロセスへの影響
第3章 3次元CAD導入と利用の現状
第4章 製品開発プロジェクトにおける3次元CADの利用
第5章 日本における3次元CADの普及の特徴    
Ⅱ 概要
 機械産業のモノ作りにおける情報化は、特に製品開発における3次元CAD利用に象徴的に現れており、新世代3次元CADソリッド・モデラーを中心とする新たな情報技術の台頭によって開発・生産プロセスに大きな変化が生じる可能性があるが、その実態の全体像は明らかになっていない。そこで、1990年代以降、特にこの数年急速に進行しつつある3次元CADの活用状況の把握から、製品開発における情報化の実態とその影響についてアンケート調査ならびにヒアリング調査を実施した。その結果、現在3次元CADの普及が本格化し始めた段階であり、65%の企業が何らかの形で3次元CADを導入しているがその多くは実験的あるいは部分的で本格的に3次元CADを使用している企業は10%に満たない。但し、約30%の企業は実際の製品開発に3次元CADを使用したことがあり、これらを「早期採用企業」としてその他の企業と比較すると、その取組みや認識は大きく異なることが明らかになった。
 さらに、その他の企業では設計部門主導で設計機能の効率、設計者の教育に関心があるのに対して、早期採用企業は導入に積極的で、製造部門や協力企業を含めた開発プロセス全体の効率化向上を目指し、設計部門以外の部門を含めた業務分担や組織構造の変革が必要でありそれが容易でないことを認識していることなどが明らかになった。またERPと3次元CAD利用(製品開発)との比較から日本の情報化の特徴が明らかになり、2次元CADベースの製品開発の成果を背景に情報化を進めている日本と3次元CADの導入で先行するとみられ、またそれを促進しやすい社会環境がある米国とは対照的であることなどを明らかにした。これらの結論として、IT(情報技術)の進歩と3次元CADなど先端的情報システムの登場が日本企業に対して組織の抜本的見直しを迫っていることを指摘している。