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調査研究報告書 詳細

3次元・デジタル技術が開発・生産プロセスに与える影響

報告書No. H8−4
発行年月 : 平成9年5月



Ⅰ 主要目次
第1章  3次元デジタル革命による製造業の変革
1. 変革をもたらす3次元化とコンカレントエンジニアリング
2. 日本の3次元システム化を妨げた原因
3. 3次元化の原動力
4. 3次元CADを利用した設計の実際
5. コンカレントエンジニアリングを支える技術
第2章 機械産業における新たな情報化の進展
1. 情報技術と機械産業
2. 機械産業における情報化の進展
3. 情報技術がヴァーチュアル(仮想企業)をもたらすか
4. 今後の課題
第3章 自動車産業における情報基盤整備について
1. 日本の自動車・部品産業の経営環境変化、多様化が進む取引関係
2. 自動車・部品業界の情報交換・共有化活動
3. 情報技術の発展・情報交換標準化の進展がもたらす自動車産業の変化
4. 今後に向けて
第4章 造船産業における高度情報化の進展
1. 背景
2. 次世代造船業の高度情報化のためのグランドデザイン
3. NCALS船舶プロジェクト
第5章 新製品開発プロセスに与えるCAD技術の影響 - B777開発の事例から
1. 文責の目的と視点
2. B777開発プロセス
3. 従来の日本型開発システムとの相違
4. 日本企業の新製品開発の今後 
Ⅱ 概要
 機械情報産業が置かれている厳しい環境を脱却するには、現在進行中の新たな情報技術をいかに吸収し事業化するかが鍵となると推測される。そこで機械情報産業の開発・生産に関わる一連のプロセスにおいて生じている先端的と思われる事例を調査し、その状況を把握し、またそれが日本の機械情報産業の新たな競争力の源泉となりうるかについて検討した。
 明らかになったのは、機械情報産業のあらゆる技術的課題が「設計」に集約されてきており、そこでは3次元・デジタル技術を有効に活用したコンカレントエンジニアリングが大きな影響をもたらし始めていること。ただ日本は、こうした情報化において米国に遅れているという指摘もあることなどである。自動車、造船における高度情報化の進展状況は、デジタルマニュファクチャリングをめざしたものであり、また米国のB777の開発事例は、それを達成した事例である。これらの検討から、新たな情報技術の導入が日本の機械情報産業の競争力に資する可能性が示唆できた。一方、経営戦略と一体でなければ情報化技術自体に過大な期待はもてないことや、新たな技術自体にもまだ課題がなくはないこと、それに関連するソフトウェア産業が欠かせないことなども指摘されている。