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調査研究報告書 詳細

機械関連産業の国際競争力と企業戦略―ロボット産業を事例に―

報告書No. H8−7
発行年月 : 平成9年5月



Ⅰ 主要目次
序 章 調査研究の主旨
第1章 ロボット産業の現状と企業の動向
第2章 溶接ロボット市場
第3章 実装組立・一般組立ロボット市場
第4章 その他のロボット市場
第5章 ヒアリング調査の総括と国際競争力の源泉
第6章 ロボット産業への提言
Ⅱ 概要
 わが国製造業のうち、ロボット産業の国際競争力の源泉について、その実態と今後の展望を考察した。調査研究の方法は、文献調査と企業へのヒアリング調査、そして有識者との意見交換によって進められた。この結果、明らかとされたことは次のような4点にしぼられる。第一に、ロボット産業の国際競争力は、業界に起因する「構造部分」と企業に起因する「本質部分」に区別されるが、この関係は、いわばコインの裏表のごとく相互に作用して初めて卓越した国際競争力が開発されることである。第二に、国際競争力の開発は、国の産業政策やチャンスという強い追い風が非常に重要な意味を持つことである。第三に、日本のロボット産業の強さとは、「構造部分」「本質部分」、そして「国の産業政策」や「チャンス」が長期にわたり連鎖的に作用したことであり、将来にわたって国際競争力を維持または発展させるには、以上の総合的な取り組みが必要である。第四に、ロボット技術は産業用に留まらず、非製造業ロボット、パーソナルロボットの早期実用化も国際競争力維持のために重要なテーマである。新しい技術革新、業界を跨いだ組織や企業のネットワーキング、そしてなによりも重要なニーズ側である生活者や消費者の価値観や思考の変化が強く求められる。
 結論としてロボット産業は、製造業自体が無くならない限り、その存在意義も喪失することは有り得ない。このため、ロボット産業の国際競争力は、その源泉が国内をホームベースとして十分に維持され続ける限り、簡単に競争優位は揺らぎそうもない。今後の課題としては、産業用ではアプリケーションの幅を木目細かく開拓することであり、同時にまた、非製造業ロボット、パーソナルロボットの早期実用化を可能にすることである。