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調査研究報告書 詳細

海外生産シフトの影響とその対応―機械産業を中心として―

報告書No. H7−2
発行年月 : 平成8年3月



Ⅰ 主要目次
第一部 海外生産シフトとその影響に対する実態分析へのアプローチ
序 章 対外直接投資 その歴史、理論、影響
第1章 日本企業の海外生産活動と国内経済への影響
第2章 機械産業の海外生産シフトとその影響  アンケート調査分析を中心に
第二部 事例調査 量産型機械産業・企業の海外生産シフトに伴う影響と対応
第3章 家庭電器産業
第4章 電子部品産業
第5章  自動車・同部品産業
第三部 付属資料
付属資料1 アンケート調査の集計結果
付属資料2 アンケート調査票 
Ⅱ 概  要
 最近のわが国経済は、バブル崩壊後の戦後最長の低迷をようやく脱しつつあるかにみえる。しかしその一方で、1985年のプラザ合意以降の継続的な円高を背景に、強い国際競争力をもつわが国の機械産業・企業はその競争力を補充・強化するため、アジア地域を主体とする発展途上国での現地生産を活発にしてきた。この状況は、循環的要因に加え、円高を主因とした急速な海外生産シフトの要因が重なって、国内の生産や雇用に深刻な影響を与えるという、いわゆる「空洞化」の議論に拍車をかけることとなった。
 そこで本報告書では、まず対外直接投資の史的展開やその理論的な枠組みの整理を行い、その実態にアプローチするため、わが国製造業の対外直接投資とその国内経済への影響(空洞化)といったマクロ的視点からの分析を試みている。また機械産業の海外生産活動の実態やそれに伴う日本国内での生産量への影響、設備・労働力の過不足状況などをアンケート調査から分析している。さらに、機械産業のなかでも相対的に海外生産が進んでいる家庭電器、電子部品、自動車・同部品の各産業について、事例調査に基づく現地生産の実態とその影響、今後の国内事業基盤強化への対応などについて取りまとめを行っている。
 調査の結果、わが国の機械産業・企業の国内事業体制は、アジア地域を中心とした海外生産シフトにより大きな影響を受けていることがわかった。この傾向は今後も続くであろうが、それによる国内へのマイナス影響を軽減し高付加価値な製品や事業を開拓するためには、わが国の機械産業・企業において技術優位に立った国際分業を指向するグローバル経営が必要であり、それを実現するための技術開発力の強化が大きな課題であるということが明らかにされている。