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調査研究報告書 詳細

日本の起業家育成に関する調査研究

報告書No. H11委−29
発行年月 : 平成12年3月


株式会社 関西新技術研究所

Ⅰ 主要目次
第1章 起業家を生む教育とは
第2章 大学生の数学学力
第3章 定員順守がもたらした問題 - 大学3年次編入制度
第4章 入試の多様化と学部コアカリキュラムの教育方法- 私立A大学経済学部を例にして
第5章 本当に日本の小・中生は学力が高いのか -国際数学教育調査報告と現実
第6章 教育改革における「学力」のとらえ方とその実態
第7章 「経済学部出身者の大学教育とキャリア形成に関する実態調査」- パイロット調査について
第8章 技術革新の進展によって高まる問題解決型技能の希少性
第9章 「グローバル市場競争時代における教育・人材育成のあり方」研究会報告書- 大学入学後の学力保持に関する実証的研究
第10章 思考の科学 - 限定合理性と行動の分析
Ⅱ 概要
 21世紀における日本経済の活性化はニュービジネスの勃興なくしては不可能である。このニュービジネスを支えるのが起業家である。 起業家を含む労働者の質を向上させ、産業の生産力を高めるためには、学力や人間の思考についての基礎的な調査と研究が必要である。本調査・研究では、経済学、数学、教育学、心理学、脳神経工学といった多岐に渡る専門家が参加し、国際比較を含む包括的な学力調査を行ったとともに、高度な科学的手法を用いて思考パターンの解析を行った。技術革新と熟練との関係に関する調査では、比較的若年でも高度な技能を体化する技能者がより多く出てき、高度な技能レベルに達することのできるより少数の技能者とそうでない技能者との技能格差が高まる可能性が高いことが示された。起業家育成における基礎学力の重要性とビジネスへの影響力分析では、大学入試での数学受験の有無が、将来的なキャリア形成に無視できない影響を及ぼしていることが明らかになった。そして、大学生の学力調査の結果、私立トップ校、国立トップ校でも極めて学力の低い学生がおり、国公立大学の中堅校でも学力低下が著しいことが明らかになり、非常に深刻な状況にあることが明らかになった。学習パターンの国際比較調査では、日本では学力とそれに基づく論理思考能力の育成が阻害されるという誤った学習パターンが作られてきたことが明らかにされている。最後に、脳の活動を先端的方法によって計測することにより、脳機能と意志決定との間の関係について重要な知見を得た。