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調査研究報告書 詳細

国内中小製造業におけるネットワークの創発と取引多様化戦略

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報告書No. H20-5
発行年月 : 平成21年3月



【主要目次】

第1章 本報告書の問題意識と分析枠組み

第2章 中小製造業におけるネットワークの創発と取引多様化に関する多角的考察

第3章 比較分析対象としての茨城県日立市と群馬県太田市
      :その沿革と概要

第4章 中小製造業におけるネットワークの創発と取引多様化の分析 ①
      : アンケート調査から

第5章 中小製造業におけるネットワークの創発と取引多様化の分析 ②
      : 実態調査から

第6章 中小製造業におけるネットワークの創発と取引多様化の分析 ③
      : 国内その他地域の事例から

第7章 まとめと結論
      : 中小製造業におけるネットワークの創発と取引多様化の条件

【概要】 

 「取引関係の多様化(取引多様化)は中小製造業の経営パフォーマンスを向上させる」と言われている。国内中小製造業における「取引多様化=新たな取引関係の構築」の重要性は昨今の経済変動下で、より高まっていると言ってよいだろう。では、中小製造業はどのように取引多様化を実現すればよいのだろうか。
 本調査研究では、新たな取引関係に連なる「ネットワークの『創発』」という視点から、中小製造業の取引多様化のプロセスを分析している。加えて、産業間・地域間比較という観点から、いわゆる企業城下町のサプライヤー企業を主な分析対象としている。具体的な分析対象地域は茨城県日立市(電機)、群馬県太田市(自動車)、北海道室蘭市(製鉄)、栃木県宇都宮市(航空機)、千葉県茂原市(電機)、岡山県津山市(ステンレス加工)、北部九州(精密金型)、福井県鯖江市(地場産業・眼鏡)、大阪府八尾市(新興都市型産業地域)、鹿児島県(量産工場地域)である。また、茨城県と群馬県の中小製造業に対してアンケート調査も実施、定量的な分析を行っている。
 以上の分析結果から、本調査研究では中小製造業におけるネットワークの創発と取引多様化の普遍的な条件として、① 経営者が自社内に蓄積された固有の「技術」と「評判」の価値に気付くこと、② 経営者が取引多様化に向けた(人材獲得など)「確固たる戦略」を想定すること、③ 経営者が「新たな取引関係に連なるネットワーク創発の「場」へ「長期的視点」から「積極的」に参画していくこと、④ 経営者がネットワークを創発できる「体制・企業理念」を自社内に確立すること、⑤ 経営者が自地域・他地域の産業構造の特性を把握すること、以上の5つを見出している。