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調査研究報告書 詳細

高齢福祉型・環境配慮型社会の産業形成と『北欧モデル』の適用可能性―国内事例調査及びフィンランド等での調査に基づいて―

報告書No. H19-1
発行年月 : 平成20年3月



【主要目次】

序章 本調査研究の狙い

第1章 高齢福祉型・環境配慮型社会における産業形成の動向― 国内での事例調査に基づいて

第2章 高齢福祉型社会に対応したモノづくり企業の取り組み― 国内外での事例調査に基づいて

第3章 高齢福祉型・環境配慮型社会における産業形成に関する多角的分析

第4章 高齢福祉型・環境配慮型社会と『北欧モデル』の特徴― フィンランド及びデンマークでの調査に基づいて

第5章 高齢福祉型・環境配慮型社会の産業形成と『北欧モデル』の適用可能性― 新産業形成と地域産業イノベーションの実現に向けて

【概要】 

 本調査研究では、「高齢福祉型・環境配慮型社会に対応した地域社会における新たな産業形成」といった問題意識に基づいて、モノづくりを含むこれからの地域産業政策の“1つのモデル”として『北欧モデル』に焦点を当て、フィンランドを始めとする北欧諸国の社会制度、産業政策、研究・教育機関等々の特徴を析出した上で、わが国における高齢福祉型・環境配慮型社会に対応した新産業形成の方向性について検討を行い、持続可能社会(sustainable society)における地域産業イノベーションの実現に向けた政策立案に資するアウトプットを提示することを主要目的として設定している。

 まず始めに、問題意識としては、社会システムの転換期におけるモノづくり革新の必要性を設定し、以上の問題意識に基づいて、本調査研究では、実態調査を国内及び海外で実施している。国内については、高齢福祉型社会に対応した新産業形成及び環境配慮型社会に対応した新産業形成の2つの視点に基づいて、公的機関及び企業等の取り組み実態について事例調査(ヒアリング調査)を実施した。対象となった地域は、青森県、宮城県、愛知県、三重県、大阪府及び大分県等である。
次に、国内調査と並行して海外調査を実施した。対象となった国は、北欧諸国の中でも近年、ICT産業や福祉産業及び教育システム等で注目されているフィンランド(オウル市及びトゥルク市の取り組み)、再生可能エネルギー先進国として注目されているデンマーク(風力発電機産業)の2ヶ国で、現地において公的機関等を対象にしたヒアリング調査を実施した。

 以上の国内外における実態調査を踏まえて、国内事例の分析、フィンランド及びデンマークで得られた情報の分析を行った上で『北欧モデル』の適用可能性について検討した。最終章では、地域産業イノベーションの実現に向けた提言として、(1)地域産業と一体となった大学、高専の役割の強化、(2)地域の大学、特に経営学部、商学部の重要性を認識する、(3)制度に大きく影響される産業を成長させる仕組みを考える、(4)海外とのビジネス・コネクションに活かせる人脈づくり、以上の4点を提示している。