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「脱炭素社会における地域産業の再構築-ゼロカーボンシティから生まれる多様な活動体-」

(一財)機械振興協会経済研究所主催 第458回機振協セミナーのご報告 「脱炭素社会における地域産業の再構築-ゼロカーボンシティから生まれる多様な活動体-」オンデマンド配信あり
開催日時 2023年4月19日(水)13:30~15:00
場所 WEBにて開催
テーマ 「脱炭素社会における地域産業の再構築-ゼロカーボンシティから生まれる多様な活動体-」
講師 経済研究所所長代理 兼 機械振興協会 理事 北嶋 守
内容 2023年4月19日(水)にWebシステムより、第458回機振協セミナー「脱炭素社会における地域産業の再構築-ゼロカーボンシティから生まれる多様な活動体-」を開催しました。講師は、機械振興協会経済研究所の北嶋守所長代理にお願いしました。当日は、84名にオンラインでご参加いただきました。ご参加いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。


【講演内容】

  本講演では、北嶋がプロジェクトリーダーを務める調査研究プロジェクト「脱炭素社会に向けた国内産業集積の発展戦略に関する調査研究」(令和4年度)の概要とケーススタディの内容、多様な活動体による地域産業の再構築に向けた考察についての報告をおこなった。 このプロジェクトの目的は、ゼロカーボンシティ宣言を行い、地域エネルギー事業(エネルギー自治)に積極的に取り組んでいる先進地域を紹介すると共に、地産地消型再エネ機器の中でも地域中小企業との親和性が高いとされる小水力発電やバイオマスボイラーの事例を取り上げ、今後、地域産業を再構築して行く上で鍵となる「多様な活動体の姿」を提示することである。本講演では、ゼロカーボンシティを宣言している先進地域の事例として長野県飯田市の太陽光発電事業者「おひさま進歩エネルギー」や福岡県みやま市の「みやまスマートエネルギー」、地産地消型再エネ機器に取り組む中小製造業の事例として、小水力発電に参入した長野県飯田市や岡山県倉敷市の中小製造業の事例、地域内の多様な活動体が参画する地産地消型再エネ機器の事例が示された。
さらに、中小製造業が脱炭素市場へ参入する際の諸課題や、地域産業を再構築する上では多様なセクターが特定の社会課題を解決する「コレクティブ・インパクト」の概念や、自治体内で公益事業体が自治体から受託し、住民に必要なサービスを供給する「シュタットベルケ」というシステムが必要であることが示された。
 また地産地消型再エネ機器について、小水力発電用水車やバイオマスボイラーに関しては海外メーカー製のものが採用されているという現状を指摘したうえで、脱炭素社会を軸とした多様な活動体による地域産業の再構築に向けては自治体や発電事業者の連携のみならず地域の中小製造業とのかかわりを明確化し、自治体は多様な活動体と中小製造業を繋ぐ役割を果たし「日本版シュタットベルケ」を形成する必要があることを示した。
講演後は、①「日本版シュタットベルケ」を形成する際の「地域」の範囲に関する質問に対しては、地産地消型(マイクログリッド)再エネ機器である小水力やバイオマスボイラーの場合は限られた範囲や施設内での利用となるため「地域」の範囲は狭いが、利用する資源の関係では隣接地域との連携などある程度の広域化も考えられること。②中小製造業が脱炭素市場に参入した際には海外の小水力発電メーカーやボイラーメーカーといったグローバル企業と競合が生じるのではといった質問に対しては、地域の中小製造業は日本の地形や条件に合った製品供給やメンテナンスができる利点があること。③木質バイオマス分野では原料の輸送コストの問題があるのではといった質問に対しては、山形県真室川町の事例のように製材所で産廃として処分していたバーク(原木の樹皮)をバイオマスボイラーの燃料にすることでコスト削減が可能性になること。以上、3点について質疑応答が行われた。









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