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「ウィズ/アフターコロナ時代に伸びる産業・停滞する産業 ~社会変容と新たなビジネス」

第431回STEPセミナー「ウィズ/アフターコロナ時代に伸びる産業・停滞する産業 ~社会変容と新たなビジネス」のご報告【一般社団法人日本機械工業連合会 後援 】
開催日時 令和3年1月27日(水)14:00~15:30 
場所 Web システムにより開催( CISCO Webex )
テーマ 「ウィズ/アフターコロナ時代に伸びる産業・停滞する産業 ~社会変容と新たなビジネス」
講師 一般財団法人 日本経済研究所 専務理事(チーフエコノミスト)                  新産業創造業務統括、地域未来研究センター長 鍋山 徹 氏
内容  1月27日(水)にWebシステムにより(一財)日本経済研究所専務理事・チーフエコノミスト兼地域未来研究センター長(兼、一般財団法人機械振興協会経済研究所特任研究員)鍋山徹を講師として、第431回STEP研究会「ウィズ/アフターコロナ時代に伸びる産業・停滞する産業~社会変容と新たなビジネス~」を開催致しました。当日は、全体で80名のオンラインによるご参加を頂きました。ご参加頂いた皆様には、厚く御礼申し上げます。また、今回の会の開催にあたっては、一般社団法人日本機械工業連合会様の後援を賜りました。重ねて御礼申し上げます。

【講演内容】
 コロナ禍に襲われる前の日本経済を概観すると、1990年代に外発的成長(機械産業とその部品メーカーが支えた)から内発的成へと舵を切り替えられずに2000年代以降20年間も「成長を止めた国」となり、賃金・世帯所得も先進国のなかで見劣りがするようになっていた。ウィズ/アフターコロナの時代の日本でビジネスをしていくなかで自分の立ち位置をみるためにはPEST(Politics, Environment&Economy, Society, Technology)分析のようなマクロ環境分析が有用であり、そうした分析からコロナ禍からの経済回復が米国など「K字回復(回復過程に格差が生じる)」に対して日本は「レの字回復」になる危険性があることなどが見えてくる。企業は「気ままな旅の終わり」を十分意識して、「遠隔・非対面・非接触」重視など状況変化やそこからくる社会構造や価値観の不可逆的変化に応じた事業領域の切り出しをして、リスクとチャンスを見極めた行動変容が求められる。コロナ禍により、日本では近年停滞していたデジタル変革が急加速しており、全産業でRaaS(ロボット・アズ・ア・サービス)も含めた新たな技術開発・サービスでの実用展開が起きているため、経営そのものの変革が迫られている。アフターコロナ時代の産業動向を考えると、「ヒトからモノへ」のシフトや従来以上の異業種間競争の激化を意識し、そのうえで「環境」「デジタル」「ニューノーマル(新常態)」「宇宙・衛星」といった成長が期待できる産業分野で、グローバル・コングロマリット(FAANG+M & 5社)の死角をついて生き残る策を見出していく必要がある。また、これからの日本はオンライン教育の促進などを通してAIに代替できない人間の能力(3つのC:Curiosity, Creativity, Critical thinking、特に3つ目の批判的思考)を伸ばす必要がある。それは5H1Wを間違った順番で考えてビジネスに失敗しがちな日本が変わるためにも必要なことである。 講演後は、コロナ禍で生じた変化のうち不可逆・可逆の見極めが長期的には難しいこと、製造業の業績回復見通しは回復の程度を正確に見極めることは困難であるが新しい状況で急成長する領域はあること、企業が従業員の副業(特にパラレルキャリア)を認める場合は本業への裨益がされる仕掛けを作ることが重要なこと、地方の魅力が増加してやる気のある生産性の高い若者が地方に貢献する可能性があることなど参加者との積極的なディスカッションが展開された。

                                        以 上