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機械安全のための規格と法律、設計方法の紹介 詳細

リスクアセスメント:FMEAの利用

第2回に解説しましたリスクアセスメントにあたっては、故障の影響解析(FMEA:Failure Mode and Effects Analysis)が有効です。手順は、(1)まず、製品に生じる危険の程度を想定して危険の原因を分析し、その影響を評価します。(2)次に、危険の影響をなくすための調べ方と、防ぐ方法を導き出します。(3)最後に、危険が発生した場合のリスクレベルを評価します。なお、リスクレベルIII、IV、Vのときには、必ず危険をなくさなければなりません。設計者が下表に示すFMEAシートを作成し、信頼性・安全性・品質管理技術者等がチェック、審査していきます。設計者は製品の仕様、安全基準、使用条件・方法等を十分理解していることが必要です。

表 FMEAシート

項番品目
(製品)
機能危険の程度危険の原因危険の影響調べ方防ぐ方法リスクレベル
(被害の度合いと発生の可能性)
 検討を行う製品、部品名を記入する検討を行う製品、部品名の機能を記入する検討を行う製品、部品の機能、性能等が失われた場合を想定して記入する検討を行う製品、部品の機能、性能等が失われた場合を想定して記入する危険が与える影響を記入する危険状態の検出方法として設計で対応可能な方法を記入する危険の発生を防止、抑制するために必要な設計、製造、検査、運用、管理等の対策を記入する危険が発生した場合の「被害の度合い」「発生の可能性」の致命度区分を下表を参考に記入する
表 リスクレベル
発生の可能性
被害の度合い
K1
まれに
K2
たまに
K3
時々
K4
頻繁
S1 すり傷
S2 軽傷
S3 重傷
S4死亡廃疾

リスクアセスメント:FTAの利用


FMEAシート中の危険の原因の見付け方としては、故障の木解析(FTA:Fault Tree Analysis)が有効です。手順は、(1)まず、製品がおかしくなったことから起こる危険の程度(事象)が事故に至った道すじを分析します。(2)次に、その原因と結果を論理記号(AND,ORゲート等)を使って、木の枝の様な故障の木図(FT図:下図参照)で表します。(3)最後に、おおもとの危険原因をFT図の中より見つけ出します。設計者が中心となり、設計・製造・管理・サービスにかかわる人々が参加して自由かったつに話し合い検討していきます。このときシステム仕様書、設計報告書、製作図面、取扱い説明書、操作マニュアル、関連法規等の文書を用意することが必要です。以下に例として「回転体の破損」のFT図を示します。