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機械安全のための規格と法律、設計方法の紹介 詳細

評価により信頼性を証明する

製品の設計が終わったら、その製品が本当に安全で信頼できるか確認します。(1)まず、設計審査をおこない設計自体に問題がないことを確認します。(2)次に、信頼性試験により、製品の機能、性能、耐環境性、信頼性、安全性を確認します。信頼性試験には、機能試験、環境試験、寿命試験、安全性試験、非破壊試験等があります。(3)最後に、信頼性試験で不具合が生じた場合は故障解析をおこない、故障の原因を特定し、不具合を解決する対策をとります。この信頼性評価の流れを以下に示します。

設計審査の実施

さて、設計審査は、製品開発の各段階において、社内の各部門の専門家を加えた審査チームによって、設計が要求される条件を満たしていることを確認し、次の段階に進められるか否かを決めるために行われます。設計審査においては、「設計の思想と根拠を明確にする」、「設計の結果を確認する」ことが重要であります。そのため、設計者は審査対象資料として、設計仕様書、製造図面、設計解析書、信頼性解析書、安全性解析書、製造計画書(製造の目的・工程・生産計画を定めた文書)、検証計画書(製品の試験計画を定めた文書)等を用意します。審査が終わると、信頼性管理部門が審査時のコメントをまとめるとともに、それが設計に反映されたか確認します。設計審査の推進体制の例を以下に示します。

信頼性試験の実施

信頼性試験は、解析で得られた製品の信頼性の特性(信頼度、寿命、故障率等)を、試験データから検証する。さらに、試験中に発生した故障を分析してそのメカニズムを明らかにし、製品の信頼性の向上につなげるために行われます。そのための試験として、(1)環境試験、(2)寿命試験、(3)安全性試験、(4)非破壊試験が考えられます。
(1)環境試験は、製品を輸送、保管中および使用している時に加わる温度、湿度、気圧、日射、放射線、帯電、ノイズ、振動、衝撃、有害ガス、粉塵、塩分、騒音等が製品に与える影響を調べるために行います。

(2)寿命試験は、過酷な条件で試験を行い、短期間で製品の寿命を確認したり、製品の潜在的な欠陥や弱い部分を発見するために行います。この試験で重要な点は、試験の目的に適合した試験条件を如何に設定するかです。試験条件が厳しすぎると、その対策のために過剰な設計となり、製品のコストに跳ね返ってきます。一方、試験条件が低すぎると、消費者の予期せぬ使用方法により製品の事故につながりかねません。そのため、試験レベルの設定は、最悪条件解析(WCA)や故障の影響解析(FMEA)、さらに故障の木解析(FTA)により製品の故障状態を見つけ、その状態が発生しやすい試験条件を設定することが必要です。

(3)安全性試験は、消費者が製品を安全に使用できることを確認するために行うのもで、使用者の不注意による事故を防ぐ設計になっているか確認することが必要です。製品の安全性設計については、本ホームページ設計編第2回「安全設計のポイント」を参考にしてください。安全性試験は、寿命試験と同様、適切な試験条件を設定することが必要です。

(4)非破壊試験は、製品の潜在的な欠陥や故障のきざしを間接的に検出する試験であります。試験方法には、放射線透過試験、超音波探傷試験、浸透探傷試験、磁粉探傷試験、赤外温度試験、漏れ試験等があります。参考に、これらの試験方法の原理を以下に示します。

放射線透過試験放射線の原理 超音波探傷試験音響の原理
浸透探傷試験光学、色彩学の原理磁粉探傷試験電磁気の原理
赤外温度試験熱学の原理漏れ試験漏曵の原理

故障解析の実施

故障解析は、製品の欠陥により起こった故障の状態から、故障に至る過程、仕組みを調べて、対策と処置を決めるために行われます。故障解析の流れを下図に示します。(1)まず、故障の状態を目視等により把握します。この場合、製品の製作状況、機能の喪失、変形、変色、保全状態、さらに使用された環境を記録しておくことが必要です。(2)次に、故障モード、および故障メカニズムを推定します。(3)次に、 (2)の推定結果を分析して故障の原因を特定します。(4)次に、関係部門と協議し仕様の変更、生産工程の改善等を行い応急・恒久対策を実施します。(5)最後に、本解析により得られた結果を社内に確実に伝達し、新たな故障に活用できるようにします。